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有翔工業のよもやま話~“止まらない”現場をつくる~

皆さんこんにちは!

有限会社有翔工業の更新担当の中西です。

 

~“止まらない”現場をつくる~

化学・食品・エネルギー・環境設備——多様なプラント工事の共通解は、**E(設計)・P(調達)・C(建設)・Cx(試運転)**を一本の線でつなぐこと。この記事では、品質・安全・工程・原価を同時に満たすための運用“型”を、すぐ現場で使えるチェック付きで解説します。✨


1|E:設計段階で勝負の7割が決まる ️

  • ベーシス設計:処理量、原料スペック、連続/バッチ、将来増設の余裕を確定

  • P&ID整流化:隔離弁・ドレン・ベント・計装取り合いを試運転手順から逆算

  • 3D/BIM連携:配管クリアランス、歩廊高さ、点検動線、クレーン旋回域まで干渉排除

  • 保全性設計:ポンプ抜き出しスペース、熱交チューブ抜きしろ、足場不要の点検を標準化

  • 材質選定:腐食線図、温度・圧力、クラック対策(SCC、低温脆性)を反映

  • HSE設計:防液堤、ガス検知、非常遮断、避難動線、防爆区分

  • 文書体系:図番規格、改訂ルール(Rev.管理)を最初に決める

メモ:試運転手順を先に書く→設計に戻す。 逆算で“実際に回る”仕様になります。


2|P:調達は“仕様×納期×トレサ”の三点固定

  • L1/L2/L3評価:価格だけでなく納期・品質保証・過去実績を数値化

  • キット化納入:系統ごとにボルト・ガスケット・支持材をセット化→現場ロス削減

  • ミルシート&MTR:ヒートNo.とタグNo.をデジタル台帳で一気通貫

  • 長納期品の前倒し:制御盤、特殊弁、回転機は前倒しFATで不具合潰し

  • 検査ポイント:第三者(TPI)/立会い検査/受入検査の**ITP(検査計画)**で見える化


3|C:建設は“段取り8割”の世界 ️️

  • エリア分割×系統優先:クリティカル経路(CP)を試運転系統から決める

  • 仮設計画:クレーン・足場・搬入動線・仮電・仮配管(ユーティリティ)を平面/断面で提示

  • 溶接・NDT:WPS/PQR→溶接者資格→溶接マップ→RT/UT/PT/MT→是正→再検

  • 配管クリーン度:フラッシング、ピックリング、オイルフラッシュ、ブローイングの基準化

  • 圧力試験:耐圧→気密→リーク→乾燥→窒素置換。ドレン位置盲板計画が鍵

  • 塗装・保温:膜厚管理、ラップ方向、ラベル/流れ方向矢印まで一体管理

  • 日次KPI:出来高(%)、安全KY、未解決パンチ、障害ログを毎朝10分で共有


4|Cx:プリコミ→コミッショニング→スタートアップ

  • プリコミ:I/Oチェック、ケーブルメガ、回転機芯出し、オイル循環、配管洗浄

  • コミッショニング:無負荷試運転→有負荷→インターロック試験→受入基準合否

  • スタートアップ:原料導入、定常化、SOP教育、初期不良の予防保全立ち上げ

  • パンチ管理:カテゴリA/B/Cで区分、**MOC(変更管理)**と連動しながらClose


5|HSE(安全)を“仕組み”にする

  • 許可制:高所・火気・酸欠・密閉空間・掘削・吊り荷はPTW(Permit to Work)

  • 隔離手順:LOTO(ロックアウト/タグアウト)→ゼロエネルギー確認

  • リスクアセス:JSA/KY→当日ハザード更新→指差呼称で現場定着

  • 非常対応:避難訓練、消火器・シャワー・洗眼の位置掲示

  • 記録:ヒヤリハット→是正→再発防止のKYTボードで共有


6|“紙と現場”をつなぐQMS(品質マネジメント)

  • **ITP/IR(検査要請)**の時系列運用

  • RFI/RFC:設計照会→回答→図面反映のリードタイムを測定

  • デジタル台帳:図面、チェックシート、写真、MTR、試験成績書をタグNo.紐付けで一元管理


7|今日から使えるチェックリスト ✅

事前

  • P&IDフリーズ/試運転手順ドラフト

  • クリティカル納期品の発注・FAT計画

  • PTW様式・LOTO手順の教育完了

施工中

  • 溶接マップ更新/NDT合格率>95%

  • 配管洗浄・試験の写真&成績書整理

  • 日次KPIと障害ログの是正期限設定

試運転

  • I/O100%確認/インターロック試験

  • パンチAゼロで引渡し

  • O&M引継ぎ、予備品・消耗品受領